F-1の学校変更(Transfer)完全ガイド|失敗しないI-20移管

約12分
執筆: NewMe留学 編集部
アメリカ留学の学校変更

アメリカ留学中に「学校が合わない」「別の学校に行きたい」と感じることがあります。F-1学生ビザでの学校変更(Transfer)は可能ですが、正しい手順を踏まないと違法滞在になったり、再入国できなくなるリスクがあります。この記事では、SEVISシステムでのTransferの仕組み、I-20移管の手順、注意点まで徹底解説します。

この記事でわかること

  • F-1 Transferの基本的な仕組み
  • Transfer out(旧校からの手続き)
  • Transfer in(新校への手続き)
  • Release Dateとは何か
  • 成績・財務の扱いと注意点
  • Transfer中の旅行リスク
  • 旧校→新校のタイムライン

Transfer(学校変更)とは?

Transfer(転校)は、F-1学生が現在の学校(SEVIS認定校)から別のSEVIS認定校に移ることです。正式なTransfer手続きを経ることで、SEVIS IDを継続でき、新たなSEVIS費用の支払いが不要になります。

Transferの基本情報

  • SEVIS IDの継続:正式なTransferではSEVIS IDが変わらない
  • SEVIS費用:再支払い不要($350節約)
  • ビザステータス:F-1ステータスを維持できる(手続きが正しければ)
  • Grace Period:旧校のプログラム終了後60日以内に新校で授業開始が必要

Initial AttendanceとTransferの違い

初めてアメリカに入国する際の学校入学はInitial Attendanceと呼ばれ、Transferとは異なります:

  • Initial Attendance:新しいSEVIS ID、SEVIS費用支払い必要
  • Transfer:既存のSEVIS IDを継続、SEVIS費用不要

SEVISシステムでのTransferの仕組み

TransferはSEVIS(Student and Exchange Visitor Information System)上で管理されます。旧校と新校の両方のDSO(Designated School Official)が協力して手続きを進めます。

SEVIS上の2つの手続き

1. Transfer Out(旧校からの移管)

現在の学校から出る手続きです:

  • 学生が新校への入学を決定し、旧校のDSOに通知
  • 旧校のDSOがSEVIS上で「Transfer Out」処理を実行
  • Release Dateを設定(この日からSEVIS管理が新校に移る)
  • 旧校のI-20が終了し、SEVIS Statusが「Transfer Out」に変更

2. Transfer In(新校への受け入れ)

新しい学校に入る手続きです:

  • 新校が学生を入学許可し、I-20を発行する意思を表明
  • 新校のDSOがSEVIS上で「Transfer In」処理を実行
  • Release Date以降、新校がSEVIS管理を開始
  • 新校が新しいI-20(Transfer-in用)を発行

Release Date(リリース日)とは

Release Dateは、旧校がSEVISレコードを「解放」して新校に管理権を移す日付です。この日付が非常に重要です:

Release Dateの設定ルール

  • 通常、学生の最終出席日またはプログラム終了日に設定
  • Grace Period(60日)内に設定される必要がある
  • Release Date以前は旧校がSEVIS管理、以降は新校が管理

Release Date前後の違い

項目Release Date前Release Date後
SEVIS管理旧校のDSO新校のDSO
有効なI-20旧校のI-20新校のI-20
住所変更届先旧校のDSO新校のDSO
就労許可旧校での規定新校での規定

Transfer手続きの完全タイムライン

学校変更の手続きタイムライン
タイミングやること担当者
3〜6ヶ月前新校の入学要件確認、出願準備、財政証明準備学生
2〜3ヶ月前新校に出願、入学許可を取得学生
1〜2ヶ月前旧校のDSOにTransfer意思を通知(Transfer Out Formを提出)学生
1〜2ヶ月前新校にTransfer In申請、必要書類提出学生
最終出席日旧校での授業終了、成績証明書取得学生
最終出席日旧校のDSOがSEVIS上でTransfer Out処理、Release Date設定旧校DSO
Release Date後新校のDSOがSEVIS上でTransfer In処理新校DSO
Release Date後新校が新しいI-20(Transfer-in用)を発行新校DSO
60日以内新校で授業開始(Grace Period内に開始必須)学生
15日以内新校への住所変更届(AR-11)提出学生

Transfer前に確認すべき事項

1. 成績(GPA)と単位取得状況

成績が悪い場合、Transferに大きな影響があります:

  • 新校の入学要件:多くの学校は最低GPA 2.0〜2.5を要求
  • 成績証明書の発行:成績不良の場合、旧校が成績証明書発行を拒否する可能性
  • Academic Probation:停学中や退学処分の場合、Transfer不可
  • SEVIS Status:成績不良でSEVISがTerminatedされている場合、Transferではなく再申請が必要

⚠️ 成績に問題がある場合は、Transfer前に旧校で成績を改善することを強く推奨します。

2. 学費その他の未払い金

未払い金がある場合、Transferできません:

  • 授業料・寮費:全額支払い完了が必須
  • 図書館の延滞料金:小さな金額でも清算が必要
  • 医療費:学校の保険でカバーされない部分も清算
  • 成績証明書:未払い金がある場合、Hold(保留)となり発行されない
  • SEVIS Release:未払いがあるとDSOがSEVISをReleaseしない

⚠️ Transfer前に必ず学校のアカウントをチェックし、全ての未払い金を清算してください。

3. 単位の移行(Transfer Credit)

新校が旧校の単位をどれだけ認めるかを事前に確認します:

  • 単位評価:新校のAdmissions Officeに単位評価(Credit Evaluation)を依頼
  • コース内容の比較:シラバスの提出を求められることがある
  • 最低単位:多くの学校は卒業単位の50%以上を自校で取得することを要求
  • 認定されない単位:ESLや職業訓練コースは認定されないことが多い

4年制大学への編入について詳しくは、4年制大学への編入完全ガイドをご覧ください。

4. 財政証明(Financial Documents)

新校は新しいI-20を発行する前に、財政証明を要求します:

  • 残高証明書:新校の授業料+生活費1年分以上の残高
  • 発行日:通常3〜6ヶ月以内のもの
  • スポンサーレター:両親や親族からの支援を証明する書類
  • 奨学金:奨学金を受ける場合は証明書が必要

Transfer手続きの詳細ステップ

ステップ1:新校への出願と入学許可

  1. 新校のTransfer出願締切を確認
  2. 出願書類を準備(成績証明書、推薦状、エッセイなど)
  3. オンライン出願を提出
  4. 入学許可(Acceptance Letter)を受け取る

ステップ2:旧校でのTransfer Out手続き

  1. International Student Officeに予約を取る
  2. Transfer Out Form(学校により名称が異なる)を記入
  3. 新校からのAcceptance Letterのコピーを提出
  4. 最終出席日を報告
  5. DSOがSEVIS上でTransfer Out処理を実行(Release Date設定)
  6. 成績証明書を取得(Sealed Envelopeまたは電子送信)

ステップ3:新校でのTransfer In手続き

  1. 新校のInternational Student Officeに連絡
  2. Transfer In Form(SEVIS Transfer Form)を記入
  3. 必要書類を提出:
    • 旧校のI-20(コピー)
    • 旧校の成績証明書
    • パスポート(コピー)
    • I-94(プリントアウト)
    • 財政証明書
  4. DSOがSEVIS上でTransfer In処理を実行
  5. 新しいI-20(Transfer-in用)を受け取る

ステップ4:新校での授業開始

  1. 旧校のプログラム終了後60日以内に新校で授業開始
  2. オリエンテーションに参加(Transfer学生向けの場合もあり)
  3. 履修登録を完了
  4. DSOに出席を報告(Check-in)

Transfer中の旅行(出国)リスク

⚠️ Transfer手続き中の旅行は非常にリスクが高い

Transfer手続き中にアメリカを出国すると、再入国できなくなる可能性があります。特に以下の期間は出国を避けてください:

  • Transfer Out処理後〜新I-20受領前:SEVIS StatusがTransfer Pendingまたは不明確な状態
  • 旧I-20終了後〜新I-20受領前:有効なI-20がない状態での出国は再入国拒否のリスク
  • 新I-20受領後〜授業開始前:Travel Signatureがまだ無効な期間

やむを得ず旅行する場合の注意点

緊急の用事でどうしても出国が必要な場合:

  • 新I-20を必ず受け取る:出国前に新校から新しいI-20を受領
  • Travel Signatureを取得:新校のDSOにTravel Signatureを依頼
  • 両方のI-20を携行:旧校と新校のI-20両方を持参
  • 入学許可証を持参:新校からのAcceptance Letterも携行
  • 成績証明書:旧校の成績証明書(Sealed)も携行を推奨
  • 財政証明:新校での資金証明も用意

推奨:Transfer完了まで待つ

可能な限り、Transfer手続きが完全に完了し、新校で授業が始まってから旅行することを強く推奨します。入国審査官によっては、Transfer中の学生の再入国を認めないケースがあります。

Transfer手続きの注意点

よくあるトラブルと対処法

❌ トラブル1:旧校が成績証明書を発行してくれない

原因:未払い金がある、成績不良、図書館の未返却本など

対処法:すべての未払い金を清算し、未返却物を返却。それでも発行されない場合は、学校のオンブズマンに相談。

❌ トラブル2:旧校のDSOがSEVISをReleaseしてくれない

原因:手続きの遅延、未払い金、書類不備

対処法:DSOに何度も連絡し、必要な書類を再確認。それでも進まない場合は、SEVISヘルプデスクに相談。

❌ トラブル3:Grace Periodが切れそう

原因:手続きの遅延、新校の開始日が60日を超える

対処法:新校に緊急で連絡し、早期入学の可能性を相談。場合によっては、一旦帰国してInitial Attendanceとして再入国が必要。

❌ トラブル4:Transfer中に出国してしまった

原因:手続きのタイミングを誤解、緊急帰国

対処法:すぐに新校のDSOに連絡し、新I-20とTravel Signatureを緊急発行してもらう。最悪の場合、新しいビザ申請が必要。

❌ トラブル5:新校が単位をほとんど認めてくれない

原因:事前確認不足、コース内容の相違

対処法:Academic Advisorに相談し、シラバスを提出して再評価を依頼。Appeal(異議申し立て)プロセスがある学校も。

Transfer vs 新規申請(Initial Attendance)

項目Transfer新規申請
SEVIS ID継続(変わらない)新規発行
SEVIS費用不要$350支払い必要
ビザ更新ビザが有効なら不要新しいI-20で更新可
手続き期間60日以内に完了必須制限なし
出国の影響手続き中は高リスク新I-20とビザがあれば問題なし
適用ケースF-1ステータス維持中の学校変更F-1失効後、長期ギャップ後

Transferのまとめ

Transfer成功のための5つのポイント

  1. 早めに計画:3〜6ヶ月前から準備を始める
  2. 成績と財務を整理:未払い金を清算し、成績を確認
  3. DSOとの密な連絡:旧校・新校両方のDSOと頻繁にコミュニケーション
  4. 60日ルールを厳守:Grace Period内に新校で授業開始
  5. 旅行は避ける:手続き完了まで出国しない

迷ったら無料で相談できます

LINEで気軽に相談可能(最短当日返信)。
あなたに最適なプランを一緒に見つけましょう。

参考リンク

関連記事

よくある質問

最終更新日:2025年10月14日

監修:NewMe留学 編集部|アメリカ留学サポート専門チーム。F-1ビザ申請から入学手続き、現地サポートまで一貫して対応。過去500名以上の留学実績。