F-2家族帯同の基礎|就学・就労制限と手続きの流れ

F-1学生ビザでアメリカ留学をする際、配偶者や子どもを連れて行きたいと考える方も多いでしょう。「家族は働けるの?」「子どもは学校に通える?」「どんな制限があるの?」という疑問を持つ方のために、この記事ではF-2ビザ(家族帯同ビザ)の基礎知識、就学・就労制限、申請方法まで徹底解説します。
この記事でわかること
- F-2ビザ(家族帯同)の基本
- F-2の就労制限(完全禁止)
- F-2の就学制限とパートタイム可否
- F-2の子どもの小中高入学手続き
- F-2ビザの申請方法と必要書類
- 観光・一時帰国の注意点
- F-1とF-2の違い(比較表)
F-2ビザとは?
F-2ビザは、F-1学生ビザ保持者の家族(配偶者および21歳未満の未婚の子ども)がアメリカに同伴するためのビザです。F-1保持者が留学している間、家族もアメリカに滞在できます。
F-2ビザの基本情報
- 対象者:F-1保持者の配偶者、21歳未満の未婚の子ども
- 滞在期間:F-1保持者のプログラム期間中+60日のGrace Period
- ビザの種類:非移民ビザ(一時滞在)
- I-20:不要(F-1保持者のI-20に依存)
- SEVIS費用:不要(F-1のSEVIS費用のみ)
重要:F-2はF-1に依存
F-2ビザの有効性は、F-1保持者のステータスに完全に依存します。F-1保持者がプログラムを中退したり、F-1ステータスを失った場合、F-2保持者も同時にステータスを失います。
F-1とF-2の違い(比較表)
| 項目 | F-1(学生本人) | F-2(家族) |
|---|---|---|
| 対象者 | 学生本人 | 配偶者、21歳未満の未婚の子ども |
| 就労 | 条件付きで可能(On-Campus、CPT、OPT) | 完全禁止 |
| フルタイム就学 | 必須(12単位以上) | 不可 |
| パートタイム就学 | RCL承認時のみ可能 | 可能 |
| K-12(小中高)就学 | 該当なし | 可能(無料) |
| I-20発行 | 必要 | 不要 |
| SEVIS費用 | $350 | 不要 |
| SSN取得 | 就労許可があれば可能 | 不可 |
| 運転免許 | 取得可能 | 取得可能 |
| 滞在期間 | プログラム期間+60日 | F-1保持者と同じ |
F-2の就労制限
⚠️ F-2は就労が完全に禁止
F-2ビザ保持者は、いかなる形態の就労も認められていません:
- 有給就労:アルバイト、パートタイム、フルタイムすべて不可
- 無給就労:ボランティア、インターンシップも原則不可
- 自営業:フリーランス、起業も不可
- On-Campus Employment:F-1のような特例もなし
⚠️ 違法就労が発覚すると、F-2ステータスが失効し、強制退去の対象となります。
就労したい場合の選択肢
F-2保持者が就労したい場合は、以下の方法があります:
- F-1への変更:学校に入学し、F-1ステータスに変更してCPT/OPTを利用
- H-1Bビザへの変更:雇用主がスポンサーとなりH-1B就労ビザを申請
- その他の就労ビザ:L-1(企業内転勤)、O-1(特殊能力)など

F-2の就学制限
F-2ビザ保持者は、フルタイムの学位プログラムには通えませんが、パートタイムや趣味のクラスは受講できます。
パートタイムの定義と制限
受講可能なコース
- パートタイムコース:学部生は12単位未満、大学院生は9単位未満
- 趣味・娯楽目的のクラス:語学クラス、料理教室、ヨガ、ダンスなど
- コミュニティカレッジ:学位を目指さないパートタイムコース
- オンラインコース:パートタイムであれば可能
受講不可のコース
- フルタイムの学位プログラム:学士号、修士号、博士号を目指すプログラム
- 職業訓練プログラム:学位を授与する職業訓練コース
フルタイムで学びたい場合
F-2保持者がフルタイムで大学に通いたい場合は、F-1ビザへの変更が必要です:
- 学校に出願し、入学許可を得る
- 学校からI-20を取得
- USCISにForm I-539でF-2からF-1へのステータス変更を申請
- 承認後(通常3〜6ヶ月)、F-1としてフルタイム就学開始
F-2の子どもの小中高入学手続き
F-2ビザの子どもは、アメリカの公立小学校・中学校・高校(K-12)に無料で通学できます。
公立学校への入学手続き
ステップ1:学区の確認
- 居住地の学区(School District)を確認
- 学区の公式ウェブサイトで入学手続きを確認
ステップ2:必要書類の準備
- パスポート(子ども)
- F-2ビザのコピー
- I-94(入国記録)
- F-1保持者のI-20とパスポートのコピー
- 出生証明書(英訳付き)
- 予防接種記録(Immunization Records)
- 住所証明(賃貸契約書や光熱費の請求書)
- 前の学校の成績証明書(あれば)
ステップ3:学校への登録
- 学区のEnrollment Office(入学事務所)を訪問
- Registration Form(登録フォーム)に記入
- 必要書類を提出
ステップ4:予防接種の完了
- 州の要件に基づく予防接種(MMR、DTaP、Polio、Hepatitis Bなど)
- 未接種の場合、クリニックで接種を完了
- 接種記録を学校に提出
ステップ5:クラス分けと授業開始
- 学年とクラスが決定
- オリエンテーションに参加
- 授業開始
私立学校への入学
私立学校(Private School)にも入学可能ですが、授業料が必要です:
- 授業料:年間$10,000〜$40,000程度(学校により大きく異なる)
- 入学試験:多くの私立学校は入学試験あり
- ビザ要件:F-2ビザで問題なく入学可能
高校卒業後の進路
注意:大学進学にはF-1への変更が必要
F-2ビザのまま大学(フルタイム)に通うことはできません。高校卒業後に大学に進学する場合は、以下の手続きが必要です:
- 大学に出願し、入学許可を得る
- 大学からI-20を取得
- F-2からF-1へのステータス変更を申請
- 承認後、大学に入学
F-2ビザの申請方法
F-2ビザは、F-1保持者と同時に申請することも、F-1保持者の渡米後に後から申請することも可能です。
必要書類
1. 基本書類
- パスポート(有効期限6ヶ月以上)
- DS-160確認ページ
- ビザ申請料金レシート($185)
- 証明写真(5cm×5cm、白背景)
2. F-1保持者関連書類
- F-1保持者のI-20(コピー)
- F-1保持者のパスポート(コピー)
- F-1保持者のF-1ビザ(コピー)
- F-1保持者の在籍証明書(既に渡米している場合)
3. 関係証明書類
- 配偶者の場合:婚姻証明書(戸籍謄本の英訳)
- 子どもの場合:出生証明書(戸籍謄本の英訳)
4. 財政証明
- 銀行残高証明書(F-2の生活費をカバーできる金額)
- F-1保持者の財政証明でまかなえる場合、それを提示
申請手順
- DS-160フォームの記入:オンラインで申請書を作成
- ビザ申請料金の支払い:$185(2024年時点)
- 面接予約:米国大使館または領事館で面接予約
- 面接準備:必要書類を揃える
- 面接:大使館で面接を受ける(通常10〜15分)
- ビザ発給:承認されれば1〜2週間でビザ付きパスポートが返送される
DS-160の記入方法について詳しくは、DS-160の書き方完全ガイドをご覧ください。
観光・一時帰国の注意点

F-2での出国と再入国
F-2ビザ保持者は、アメリカから一時的に出国して再入国できます:
再入国に必要な書類
- 有効なF-2ビザ:パスポートに貼付されたビザが有効期限内
- パスポート:有効期限6ヶ月以上
- F-1保持者のI-20(コピー):Travel Signature付きのもの
- 婚姻証明書または出生証明書:F-1保持者との関係を証明
- F-1保持者の在籍証明(推奨):F-1保持者が現在も学生であることの証明
F-1保持者と別々に旅行する場合
F-2保持者がF-1保持者と別々に旅行する場合でも、上記の書類は必要です。入国審査官は、F-1保持者が有効なステータスを維持していることを確認する場合があります。
Travel Signatureについて詳しくは、Travel Signatureとは?再入国に必要な条件と期限の見方をご覧ください。
F-1保持者がステータスを失った場合
⚠️ F-2ステータスも同時に失効
F-1保持者が中退、退学、SEVIS Terminatedなどでステータスを失った場合、F-2保持者も自動的にステータスを失います。この場合、すぐに帰国するか、別のビザへの変更が必要です。
F-2からF-1へのステータス変更
F-2保持者がフルタイムで大学に通いたい場合、アメリカ国内でF-1へのステータス変更が可能です。
変更手順
- 学校への出願:希望する学校に出願し、入学許可を得る
- I-20の取得:学校からI-20を発行してもらう
- SEVIS費用の支払い:I-901 SEVIS費用($350)を支払う
- Form I-539の提出:USCISにステータス変更申請を提出
- 審査期間:通常3〜6ヶ月(この間はF-2として滞在)
- 承認後:F-1として授業開始(承認通知に記載の日付以降)
注意:承認まで授業開始できない
Form I-539の承認が下りるまで、フルタイムで授業を開始することはできません。承認前に授業を開始すると、ステータス違反となります。パートタイムでの受講は可能です。
よくある質問と回答
Q:F-2で銀行口座は開設できますか?
A:はい、可能です。パスポート、F-2ビザ、I-94、住所証明があれば、多くの銀行で口座開設できます。ただし、SSNがないため、一部の銀行では開設を断られることもあります。
Q:F-2で運転免許は取得できますか?
A:はい、可能です。州によって要件が異なりますが、パスポート、F-2ビザ、I-94、I-20(F-1保持者)のコピーなどを持参すれば取得できます。
Q:F-2でボランティアはできますか?
A:一般的な慈善活動やコミュニティボランティアは可能です。ただし、通常は有給のポジションをボランティアとして行うことは違法就労とみなされる可能性があります。
Q:F-2でクレジットカードは作れますか?
A:SSNがないため、通常のクレジットカードは難しいですが、Secured Credit Card(デポジット型)であれば作成可能です。一部の銀行ではITINで申請できる場合もあります。
まとめ
F-2ビザの5つのポイント
- 就労は完全禁止:有給・無給を問わず、いかなる就労も不可
- パートタイム就学は可能:フルタイムは不可、パートタイムや趣味のクラスは受講可能
- 子どもは無料で小中高に通学可能:公立学校に無料で入学できる
- F-1保持者に依存:F-1のステータスが失われるとF-2も失効
- F-1への変更可能:フルタイムで学びたい場合はステータス変更を申請
参考リンク
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よくある質問
最終更新日:2025年10月14日
監修:NewMe留学 編集部|アメリカ留学サポート専門チーム。F-1ビザ申請から入学手続き、現地サポートまで一貫して対応。過去500名以上の留学実績。