RCL(履修単位軽減)と休学のルール|最終学期の取り扱いも解説

F-1学生ビザでは、フルタイム(通常12単位以上)での在籍が義務付けられていますが、特定の状況下では「RCL(Reduced Course Load:履修単位軽減)」という制度を利用して、単位を減らすことができます。「体調不良で授業に出られない」「最終学期で必要単位が少ない」といった場合に重要な制度です。この記事では、RCLの3つの種類、申請方法、注意点まで徹底解説します。
この記事でわかること
- RCL(Reduced Course Load)の基本
- フルタイムの定義と要件
- RCLの3つの種類(学術/医療/最終学期)
- オンライン授業の上限ルール
- DSOへの申請フローと必要書類
- 休学(Leave of Absence)の扱い
- RCL承認なしの単位軽減リスク
RCL(Reduced Course Load)とは?
RCL(Reduced Course Load:履修単位軽減)は、F-1学生が特定の理由により、通常のフルタイム要件(学部生:12単位以上、大学院生:通常9単位以上)を下回る単位数で在籍できる特別な許可制度です。
RCLの基本情報
- 許可制度:DSOの事前承認が必須(自己判断は不可)
- 適用条件:学術的理由、医療的理由、最終学期の3つのみ
- SEVIS記録:DSOがSEVIS上でRCL承認を記録
- 最低単位:通常、最低6単位以上の履修が必要(学校により異なる)
- 期間制限:学術的RCLは1回のみ、医療的は複数回可
⚠️ RCL承認なしの単位軽減は違法
DSOの事前承認なしに単位を減らすと、F-1ステータス違反となり、SEVISがTerminated(終了)される可能性があります。必ず事前にDSOに相談し、承認を得てください。
フルタイムの定義と要件
F-1学生は、各学期においてフルタイムでの在籍が義務付けられています:
| レベル | フルタイムの定義 | 注意点 |
|---|---|---|
| 学部生(Undergraduate) | 1学期あたり12単位以上 | 通常4クラス(1クラス3単位) |
| 大学院生(Graduate) | 学校により異なる(通常9単位以上) | 学校のポリシーを確認 |
| ESL(英語コース) | 週18時間以上の授業 | 単位ではなく時間数で計算 |
オンライン授業の上限ルール
重要:オンライン授業の制限
F-1学生は、フルタイムのうち最低1クラス(通常3単位)は対面授業を取る必要があります:
- 例:12単位のうち、9単位までオンライン可、3単位は対面必須
- 完全オンラインのみでF-1ステータスを維持することは不可
- パンデミック時の例外措置は終了(2023年以降)
- ハイブリッド授業(一部対面)は対面としてカウント可能
RCLの3つの種類

1. 学術的理由(Academic Reasons)
対象:初学期の留学生で、英語力不足や学業上の困難がある場合
要件
- プログラム開始後の初学期のみ適用可能
- 英語力不足、学業適応の困難が理由
- DSOの判断で承認(客観的証拠は不要)
- 一度のみ使用可能(プログラム期間中)
必要書類
- RCL申請フォーム(学校指定)
- DSOとの面談(理由説明)
- 英語力テストスコア(参考資料として)
2. 医療的理由(Medical Reasons)
対象:病気、怪我、精神的健康上の理由でフルタイム履修が困難な場合
要件
- 医師の診断書が必須
- 身体的または精神的な健康上の理由
- 一時的な状態であることが前提
- 必要に応じて複数回使用可能
- 12ヶ月を超える場合は、ステータス維持が困難
必要書類
- 医師の診断書(Medical Certificate)
- 診断書には以下を記載:
- 病名または症状
- フルタイム履修が困難な理由
- 推奨される単位数
- 回復予定時期
- RCL申請フォーム
3. 最終学期(Final Semester/Term)
対象:卒業に必要な残り単位が12単位未満の最終学期
要件
- 卒業学期であること
- 残り単位が12単位未満(学部生の場合)
- すべての卒業要件を満たす予定
- DSOの事前承認が必須
必要書類
- RCL申請フォーム
- Academic Advisorからの卒業確認書
- Degree Audit(卒業要件確認書)
- 履修計画書
RCL種類別の要件と必要書類(一覧表)
| RCL種類 | 適用条件 | 使用回数 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| 学術的理由 | 初学期のみ、英語力不足・学業困難 | 1回のみ | RCL申請フォーム、DSOとの面談 |
| 医療的理由 | 病気・怪我・精神的健康上の理由 | 複数回可 | 医師の診断書、RCL申請フォーム |
| 最終学期 | 卒業学期、残り単位が12単位未満 | 卒業時1回 | 卒業確認書、Degree Audit、履修計画書 |
DSOへの申請フロー
RCLを利用する場合、以下の手順でDSOに申請します:
ステップ1:事前相談(必須)
- タイミング:履修登録前、または単位を減らす前
- International Student Officeに予約を取る
- DSOに状況を説明し、RCLの可能性を相談
- 必要書類のリストを受け取る
ステップ2:必要書類の準備
- 学術的理由:RCL申請フォーム、英語力テストスコア(任意)
- 医療的理由:医師の診断書(詳細な症状と推奨事項を記載)
- 最終学期:卒業確認書、Degree Audit、履修計画書
ステップ3:申請書の提出
- 学校指定のRCL申請フォームに記入
- 必要書類をすべて添付
- DSOに提出(メールまたは対面)
ステップ4:DSOによる審査と承認
- DSOが申請内容を審査(通常1〜3営業日)
- 承認された場合、SEVIS上でRCLを記録
- 承認通知を受け取る(メールまたは書面)
- 承認書を保管(コピーを複数作成推奨)
ステップ5:履修登録の調整
- RCL承認後、希望の単位数で履修登録
- 最低単位数(通常6単位)以上を維持
- 対面授業の要件も満たすように注意
重要:事前承認が必須
RCLは必ず単位を減らす前にDSOの承認を得る必要があります。事後申請は認められず、承認なしに単位を減らすとF-1ステータス違反となります。
休学(Leave of Absence)の扱い
F-1ビザでは、原則として休学(Leave of Absence)は認められていません。ただし、特定の状況では一時的な休学が可能な場合があります。
休学が認められる可能性がある場合
- 重篤な病気・怪我:医師の診断書が必須、長期入院など
- 家族の緊急事態:親の重病、死亡などのやむを得ない理由
- 学校の承認:学校のポリシーで休学が認められている場合
⚠️ 休学中はF-1ステータスを維持できないため、通常は一旦帰国し、復学時に新しいI-20で再入国が必要です。
休学の代替案
- 医療的RCL:完全な休学ではなく、最低単位(6単位程度)を履修
- Online授業の活用:対面授業1クラス+オンライン授業で負担軽減
- 夏学期の利用:夏学期を休んで回復(夏学期は通常任意)
- プログラム延長:卒業予定を延ばし、ゆっくり履修

RCL利用時の注意点とリスク
⚠️ 注意1:奨学金への影響
多くの奨学金はフルタイム在籍を条件としています。RCLを利用すると奨学金が停止される可能性があるため、事前に奨学金提供者に確認してください。
⚠️ 注意2:学生ローンへの影響
学生ローンを利用している場合、パートタイム(RCL)になるとローンの返済が開始される可能性があります。ローン会社に確認が必要です。
⚠️ 注意3:卒業の遅れ
RCLで単位を減らすと、卒業が遅れる可能性があります。プログラム終了日の延長が必要な場合は、DSOにI-20の延長を依頼してください。
⚠️ 注意4:就労への影響
On-Campus Employmentは通常フルタイム学生のみが対象です。RCL利用中は就労資格を失う可能性があります。
❌ リスク:承認なしの単位軽減
DSOの承認なしに単位を減らすと、F-1ステータス違反となり、SEVISがTerminatedされます。気づいた時点ですぐにDSOに相談し、ステータス回復(Reinstatement)の手続きが必要です。
よくあるトラブルと対処法
❌ トラブル1:RCL承認前に単位を減らしてしまった
原因:事前承認の必要性を知らなかった
対処法:すぐにDSOに連絡し、状況を説明。可能であれば単位を追加してフルタイムに戻す。それができない場合は、Reinstatement(ステータス回復)申請が必要。
❌ トラブル2:医師の診断書が不十分で却下された
原因:診断書に必要な情報が記載されていない
対処法:医師に再度診断書を依頼し、病名、症状、フルタイム履修が困難な理由、推奨単位数、回復予定時期を明記してもらう。
❌ トラブル3:完全オンラインで履修してしまった
原因:対面授業の要件を知らなかった
対処法:すぐに1クラス以上の対面授業を追加。学期が始まってしまった場合は、DSOに相談してAdd/Drop期間中にクラスを変更。
❌ トラブル4:学術的RCLを2回使おうとした
原因:1回のみの制限を知らなかった
対処法:学術的RCLは1回のみ。2回目以降は医療的理由でRCLを申請する必要がある(医師の診断書が必須)。
❌ トラブル5:休学してF-1ステータスを失った
原因:休学がF-1で認められないことを知らなかった
対処法:復学時に新しいI-20を取得し、再入国。場合によっては新しいF-1ビザの申請も必要。長期間(5ヶ月以上)の中断はInitial Attendanceとして扱われる可能性あり。
まとめ
RCL利用の5つのポイント
- 事前承認が絶対必須:単位を減らす前に必ずDSOに相談
- RCLの種類を理解:学術的(1回のみ)、医療的(複数回可)、最終学期
- 必要書類を準備:医療的理由は医師の診断書が必須
- 対面授業の要件:最低1クラスは対面授業を履修
- 休学は原則不可:代替案(医療的RCL、夏学期休み)を検討
参考リンク
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よくある質問
最終更新日:2025年10月14日
監修:NewMe留学 編集部|アメリカ留学サポート専門チーム。F-1ビザ申請から入学手続き、現地サポートまで一貫して対応。過去500名以上の留学実績。